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「今日はどこ行く?」から始まった、ローカルに混ざったハワイの一日――プウ・マエリエリ・トレイルからカネオヘへ

―今日はどこ行く?
私がハワイ滞在中によく一緒に過ごしているロコの友人のひとりと、そんな何気ない一言から決めた行き先が、カネオヘでした。

なぜプウ・マエリエリ・トレイルへ行くことになったのか

カネオヘの街へ降りる大きな交差点。マクドナルドが見え、背後にはコオラウ山脈の山肌が広がる。
ハイウェイを降り、車を止めた場所。カネオヘの街に入ったことを知らせるマクドナルドの看板。左前方には、オアフ島の東海岸側を象徴するコオラウ山脈の山肌が見えます

「ハイキング行きたいね」とは、前から何度か話していて、今回のハワイ滞在で決行することに。ただ、行き先を具体的に決めるでもなく、私がまだ行ったことのない場所がいいな、くらいの温度感で当日までいました。

当日、車で迎えにきてもらってから、友人がふと思い出したように言いました。

「カネオヘにあるピルボックスはどう?」

カネオヘのピルボックスと聞いても、正直すぐに場所が思い浮かんだわけではありません。でも、「たぶん行ったことはない」と答えると、それで話は決まりました。

「じゃあ、そこ行こう」
「トレイルの名前は?」
「覚えてない」

名前もよくわからないまま決まった行き先でした。

朝の出発|ワイキキからカネオヘへ向かう車の中で

早朝のカピオラニ公園外周。朝のランニングを楽しむランナーたちが走っている。
朝ランはカピオラニ公園の外周。周囲には、同じように朝のランを楽しむランナーたち

この日は朝早く起きて、いつものルーティンで5キロだけ走りました。そのまま滞在先のホテルに戻り、シャワーを浴びて身支度を整え、迎えに来てくれた友人の車に乗り込みます。

車が走り出してからは、特別な話をするわけでもありません。最近のことや、どうでもいいこと、思いついたことをぽつぽつと話しながら、カネオヘへ向かいました。

ハワイで車に乗ると、東京とはいい意味でずいぶん違うなと、いつも感心します。歩行者にも、ほかの車にも、全体的にやさしい空気があるのです。

トレイルヘッドは突然に|住宅街と高速道路のすぐ横から

高速道路のすぐ横を歩き、プウ・マエリエリ・トレイルのトレイルヘッドへ向かう途中。反対側からはハイキングを終えた人が戻ってきている。
高速道路のすぐ横を歩いて、トレイルヘッドへ向かう。向かい側からは、すでに歩き終えたハイカーが戻ってきました

カネオヘの住宅街に入る少し前、車でハイウェイを降りたあたりで、すでに違和感がありました。高速道路のすぐ横を、何人かのハイカーが歩いていたのです。

「なんでこんなところ、人が歩いてるの?」思わずそう口にしてしまうような場所でしたが、このあと自分も同じところを歩くことになります。

車を停めたのは、道路沿いの一角。そこから高速道路沿いのフェンスに沿って、少し歩きました。真横にビュンビュンと疾走している車を横目に、おそらく車中から「なんでこんなところ、人が歩いてるの?」と思われていることでしょう。

ちょっとすると、茂みの奥に細い入口が。看板が目立つわけでもなく、いかにも知っている人だけが入っていくような佇まいですが、これがまさにトレイルヘッド。

すれ違いながら、名前を知る道

プウ・マエリエリ・トレイルで、犬の散歩をしながら歩くローカルの女性。
犬の散歩でこのトレイルを歩くロコの女性。日常の延長にある道だと、すれ違った瞬間にわかる

登り始めてすぐ、このトレイルは好みのタイプだと感じました。日常の延長にあるような、気取らないコース。

犬の散歩をしている人や、ファミリー、カップルもいました。すれ違うたびに軽く挨拶を交わして、少しだけ言葉を交わします。この先の様子はどうか、このトレイル7回目かとか、そんな短いやり取り。

砂袋を担いで、走るように登り下りしている人もいました。トレーニングの一環なのでしょうが、なんというタフネス。こちらが息を整えている横を、当たり前のように通り過ぎていきます。

登っている途中、友人がティーンの男の子に、このトレイルの名前を聞きました。そこでやっと、ここが「プウ・マエリエリ・トレイル」と呼ばれていることを知りました。

一度で覚えられない名前(ハワイ語)なので、それからしばらく「プウマエリマエリ、マエリエリ」と呪文のように唱えながら登りました。

道端のグアバをかじりながら登る

プウ・マエリエリ・トレイルで採ったグアバを一口かじった様子。
豊かに実ったグアバを、そのまま皮ごとかじる。小さくて酸味は強いけれど、果実味が濃く、南国の香りが口いっぱいに広がった

途中で、グアバの木を発見。友人が慣れた様子で手を伸ばし、そのままもいで食べます。

私もいくつか取ってもらい、皮ごとかじりました。実は小さくて、酸味が強い。でも果実味がとても濃く、口の中にパッションフルーツの香りが広がります。

飲み込んだあとも、その香りが体の内側に残っているような感じがして、ついもう一つ手が伸びてしまいました。

ハワイのハイキングでは、こうした光景は珍しいものではありません。縦走していると、グアバの実を袋に入れながら歩いているハイカーにもよく出会います。

まさかこのトレイルでグアバを食べられるとは思っていませんでした。食べ頃にはもう一歩の熟れ具合でしたが、それでも十分でした。

登りはなかなか急。でも、それがいい

プウ・マエリエリ・トレイルの途中で、木々の間から見えるカネオヘ湾。
振り返ると、木々の隙間からカネオヘ湾の色がのぞいていた

少し進むと、勾配がはっきりしてきました。歩幅を詰めて、足元を確認しながら登るような坂です。

時々立ち止まって息を整えます。振り返ると、木々の間から海がちらりと見えました。さっきまでとは違う高さに来ていることを実感。

暑さはありましたが、木陰に入ると風が通り抜けていきます。汗はかくけれど、不快というほどではありません。このくらいのきつさがあるからこそ、ただ歩いているだけの時間にならないのだと思いました。

頂上が近づくにつれて、坂はさらに急になってきました。足を置く場所を選びながら、ゆっくり進みます。

プウ・マエリエリ・トレイル終盤の急勾配区間。足場の悪い坂にロープが設置されている。
頂上が近づくにつれ、坂はさらに急に。ロープを頼りに、足を置く場所を選びながら進んだ

上から下りてくる人とすれ違うとき、”Almost there!” と声をかけられました。初めて来ているので、その言葉をそのまま信じて登り続けます。

でも頂上が見える気配はゼロ。息を切らした友人が、ついに “This is not almost there at all…” と一言。それ、私も思いましたが、登りがあるからこそ、頂上に立ったときの感じも、きっと違ってくるのです。

見渡す限りのカネオヘ湾

プウ・マエリエリ・トレイルから見渡すカネオヘ湾。展望ポイントで景色を眺めるハイカーの姿が見える。
最後の登りを越え、ピルボックスに立つと、視界が一気に開けた。珊瑚礁が描く輪や楕円が重なり合うカネオヘ湾を、ハイカーたちと静かに見渡す。

最後の登りを越えると、視界が一気に開けました。目の前に広がっていたのは、カネオヘ湾でした。

海は単色ではなく、珊瑚礁が点在することで、輪や楕円が重なったような模様を描いています。浅瀬と深みが幾何学的に入り混じっていて、上から見ると、自然がつくった地図のようにも見えました。

さっきまで木々に囲まれていた分、その光景が余計に鮮明に感じられます。

腰を下ろして、昨日チャイナタウンで買っておいたリリコイクリームケーキを取り出し、少しずつ分け合って食べました。汗をかいた後のスイーツはこの上ないおいしさ。

チャイナタウンのMille Fêteで購入したリリコイクリームケーキ。ホテルの部屋で撮影したケーキの写真。
チャイナタウンの Mille Fête で買っておいたリリコイクリームケーキ。汗をかいたあとに食べるため、朝から楽しみにしていた。

しばらく眺めていると、低い音とともに、軍用機がかなり近いところを飛んでいきました。この先が軍の施設に近いエリアなのだと、あらためて実感します。

思っていた以上の距離感で飛んでいく機体を、ただ目で追っていると、不思議と怖さはありません。風を切って進んでいく感じが気持ちよく、見ていて爽快でした。

カネオヘ湾といえば「天国の海」として知られていますが、こうして上から眺めると、その穏やかなイメージだけではない表情も見えてきます。

自然の造形と、軍の気配が、同じ景色の中に当たり前のように存在している。その感じが、私にとって、いかにも「ハワイ」。

ピルボックスという場所について少しだけ

プウ・マエリエリ・トレイル頂上付近の木々の中に残る、軍事施設として造られたピルボックス。
頂上付近、見晴台から少し内側に入った場所に残るピルボックス。 風景の一部として溶け込みながら、ここが別の役割を担っていた時間を静かに伝えている

頂上にあるコンクリートの構造物は、もともと軍事施設として造られたものです。いわゆる「ピルボックス」と呼ばれる場所で、ハワイ各地の尾根や高台に点在しています。

今ではハイキングスポットとして親しまれていますが、もともとの用途を知っていると、この場所の見え方も少し変わってきます。ただの展望台ではなく、ここが実際に使われていた時代があったことを、無言のまま思い出させるような存在です。

ハワイでは近年、こうしたピルボックスが残る山や尾根を、英語の俗称ではなく、本来のハワイ語の地名で呼んでほしい、という声も聞かれるようになりました。
ラニカイ・ピルボックスが「カイヴァリッジ」と呼ばれるように、それぞれの場所には、もともと固有の名前があります。

観光地として消費するのではなく、この土地の歴史の一部として向き合ってほしい、そんな意図が込められているように感じます。

頂上の景色を楽しみながらも、ここが持っている時間の厚みを、少しだけ意識していました。

“Almost there”の無限ループ

プウ・マエリエリ・トレイルを下りながら歩くハイカーたちの後ろ姿
下り始めると足取りは一気に軽くなる。さっきまで自分がかけられていた言葉を、今度は誰かに渡していく番

下り始めると、さっきまでの登りが嘘のようでした。足取りは軽く、テンポよく進んでいきます。

途中、登ってくるハイカーに “Is the top far?” と聞かれることが数度あったのですが、下りの三分の一ほどまでは、特に疑問も持たずに “Almost there.” って言っていました。

ついさっきまで、自分がその言葉に翻弄されていた側だったのに。もしかしたら、このやり取りが、上りと下りのハイカーのあいだで、ずっと繰り返されているのかも。

さて、何を食べる?ウィンドワード・モールへ

Waiahole Poi Factory の店舗。ウィンドワード・モール内にあるローカル向けの店。
下山後、とりあえず向かったウィンドワード・モール。ローカル仕様のフードコートにある、Waiahole Poi Factory

下山して、ほどよくお腹が空いてきました。「さて、何を食べる?」そう言いながらも、具体的な案は特にありません。

ハイキングの後は、がっつり食べたい気もするし、そこまで重くなくてもいい気もする。考えるのが面倒になって、とりあえず向かったのが ウィンドワード・モール。

観光客向けでなく、完全にローカル仕様。ファミリーが買い物をしていて、ティーンエイジャーがフードコートに集まっていて、週末の午後の空気がゆったりと流れています。友人が知り合いと話し始めたので、私はその横で “Hi, I’m from Tokyo.” とだけ名乗って、「いつか遊びに来てね」と軽く立ち話をしました。

この日は、月一度の夜のファーマーズマーケットとライブがあることを、ここで友人が思い出しました。「じゃあ、それまで軽く食べよう」そんな流れで、フードコートでそれぞれ好きなものを選ぶことに。

私はすぐに、ある店のことを思い出しました。ハワイに来ると、必ず一度は食べたくなる場所。ワイアホレ・ポイ・ファクトリーです。

ハイキング後だったので、しっかりタンパク質を取ろうと、ラウラウのプレートを選びました。蒸された葉の香りと、やわらかい肉。体にすっと入っていく感じが、運動の後にはちょうどいい。

友人は、コリアンBBQのがっつり系。全然「軽く」じゃない。テーブルを囲んで、最近の東京の話や、カルチャーギャップ、これまで良かった旅先の話を、取りとめもなく続けました。

お腹はそこそこ満たされていましたが、ここまで来て、あれを食べないわけにはいきません。「スウィート・レディ・オブ・ワイアホレ」。温かいクロロの上に、ひんやりしたハウピアアイス。

お店がカネオヘになかった頃は、これを目当てにわざわざドライブしていたこともありました。久しぶりに食べても、やっぱりおいしい。

Waiahole Poi Factory のデザート「スウィート・レディ・オブ・ワイアホレ」。ココナッツのハウピアアイスの下に、クロロが入っている。
見た目はシンプルなアイスクリームのようだけれど、 上はココナッツのハウピア、下には温かいクロロ。冷たさと温かさが重なるデザート

食後は、そのままショッピングセンター内をぶらぶら。コスメ売り場ではセールが始まっていて、友人は何やらまとめ買い。アパレルを見て、雑貨を見て、気づけばファーマーズマーケットがそろそろ始める時間でした。

夜はローカルのファーマーズマーケットへ

Kaneohe Farmers Market の会場を歩くローカルの人たち。エコバッグや屋台で買ったフードを手にしている。
エコバッグと屋台フードを手に、思い思いに歩くローカルの人たち。ファーマーズマーケットは、生活の延長にある

観光の予定表にはまず載らない場所、カネオヘ・ファーマーズマーケット は、ウィンドワード・モール真向かいので開催。ローカルの空気感満載で、あちらこちらから「久しぶり」「最近どう?」なんて声が聞こえてきます。

私たちが訪れたのは、まだ日没前。お腹はもう空いていなかったので、フードは見て回るだけ。会場の一角は、簡単なゲーム会場に。砂袋を穴に投げ入れるものや、バスケットゴールにボールを入れるもの。子どもも大人も混ざって、なぜかみんな本気。勝った負けたで少し騒いで、それだけで時間が過ぎていきます。

しばらくすると、ローカルなら誰でも知っているシンガーたちが舞台に上がりました。トップバッターが歌ったのは、あの有名な 「Hawaiʻi ’78」。

“Ua mau ke ea o ka ʻāina i ka pono”

カネオヘ・ファーマーズマーケットのライブステージ前で、「Hawaiʻi ’78」を聴くハワイアンのカップルと、その足元に座る犬。
「Hawaiʻi ’78」が流れる中、それぞれの距離感で音楽を受け取る人たち

夜風に吹かれながら、ビールを片手に、ライブでこのフレーズに触れられるとは思ってもいませんでした。思いがけず、貴重な時間でした。音と空気が、そのまま一体になるような感覚。

私はハワイアンではありませんが、この言葉が、ただの歌詞ではなく、この土地の歴史や誇りと結びついて大切にされてきたものだということは知っています。

場はお祭りで、神聖というほど張りつめた空気ではありません。それでも、目を閉じて聴いている人がいて、そのすぐ横では、ファミリーが普通におしゃべりをしています。その声や気配も含めて、この曲が、この夜の空気の一部になっているように感じました。

曲調が変わると、今度はキッズたちがステージ前に集まって、自由に踊り始めました。振り付けも決まりもなし。それを少し離れたところから見守る大人たち。

そんな光景を見ながら、この日は朝早くから活動していたこともあって、程よい疲労感が出始めていることに気がつきました。そろそろ帰るサインです。

帰りも車なので、ビールは一本だけに。ハワイでは、血中アルコール濃度の基準内であることが前提です。ほどよいところで切り上げて、ワイキキへ戻りました。

日没直後のブルーアワーに撮影した、ワイキキ近くの住宅地と木々のシルエット
イキキへ戻る途中で立ち止まった、ブルーアワーの空。住宅地と大きな木のシルエットが、昼と夜の境目をつくっていた

この日でなければ、成立しなかった時間

朝に決めた行き先。名前も知らずに歩いたトレイル。偶然立ち寄った場所と、たまたま流れてきた音楽。

どれか一つでも違っていたら、この一日は、きっと別の形になっていたと思います。

ハワイ情報KOKO

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