オアフ島のマノア渓谷にあるライオン・アーボリータム(樹木園)は、植物病理学者のハロルド・L・ライオン博士(Harold L. Lyon, 1879~1957)の功績を称えて名付けられた植物園で、現在ハワイ大学によって管理・運営されています。
ライオン・アーボリータムは予約制です。無料で入園できますが、おひとり$5~10の寄付金が推奨されています。簡単なトレイルコースもあるので、ハワイでハイキングを楽しみたい方はぜひチェックしてみてくださいね。
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目次
ライオン・アーボリータム見学の所要時間
ライオン・アーボリータムのビジタセンターを中心に、低地エリアを散策するだけでしたら30分ほどで回ることができます。
ハイキングコースを回るなら、2時間ほどみておくといいでしょう。
ライオン・アーボリータムの見どころ
ライオン・アーボリータムでは、8,000種を超える熱帯や亜熱帯の植物を見ることができます。敷地が広く、ハイキングコースも複数あるので、自然散策を楽しみたい方にはとくおすすめの場所です。
人気のあるコースは、アイフアラマ滝( ‘Aihualama Waterfall)を目指す3.5kmのトレイルです。このコースは1~1.5時間ほどで往復できるので、お子さまも一緒に楽しめます。
雨季(11~4月頃)と乾季(5~10月頃)では、見られる光景がちょっと違います。というのは、アイフアラマ滝はもともと水の量が少ないので、滝の流れを見られるのは雨量の多い雨季のあいだだけなのです。下の画像は、乾季から雨季へ変わる時期のアイフアラマ滝です。
乾季のあいだは、滝の流れを見られないかもしれませんが、ほかに見どころがあるので大丈夫! 乾季は植物の開花シーズンなので、様々な花を楽しむことができます。とくにショウガ科の植物はユニークな形をしたものも多く、見ごたえがあります。下の画像は、ショウガ科に属する「オオヤマショウガ(Beehive ginger)」(東南アジア原産)です。
詳細は、ライオン・アーボリータムのビジターセンターにて入手できるマップに記載されているので、地図を手にハイキングを楽しんでみてくださいね。マップは公式サイトでも公開されています。(リンクは「園内のマップ」でご紹介しています。)
ライオン・アーボリータムの予約方法
ライオン・アーボリータムは無料で入園できますが予約が必要となります。予約は1グループにつき1枠(2時間制)です。代表者の方がオンラインにてご予約ください。
予約時に必要な情報は、代表者氏名とメールアドレス、携帯番号、住所、同行者人数(本人を除く5名まで同行可能)および同行者氏名です。
予約完了後に行けなくなってしまった場合は、予約時間の1時間前までにキャンセル手続きをするか、ビジターセンターにお電話(808-988-0456)をお願いします。
【ライオン・アーボリータム予約サイト】
予約サイト「eventbrite: Lyon Arboretum」
ライオン・アーボリータム園内マップ
ライオン・アーボリータムの園内マップのリンクです。
【関連・参考サイト】
公式サイト「Lyon Arboretum: VISITOR TRAIL GUIDE」
おすすめの持ち物と服装
ライオン・アーボリータムへ行く際のおすすめの持ち物と服装です。
- 虫除けスプレーや痒み止め
- 水などの飲み物
- 日焼け止め
- レインウェア
- ハイキングに適したシューズ
- 帽子
ライオン・アーボリータムは蚊が多いので、手足を隠すウェアがおすすめ。滝までのハイキングコースは自然のトレイルなのでサンダルやヒールのある靴は避けましょう。
また、マノア渓谷は年間をとおして雨の多いエリアです。ぬかるみで汚れてもOKな靴やウェアを選ぶと安心です。
ライオン・アーボリータムでの注意点
ライオン・アーボリータムでは以下の点にご注意ください。
- 植物園の植物には毒を持つものもありますので、触れないようにしましょう。
- 樹木の実や花、種などを採るのは禁じられていますので、お気をつけください。
- 川や滝にはバクテリアがいる可能性があるので、入らずに眺めるだけにしましょう。
- ペット同伴、ドローン持ち込みは禁止されています。
- ギフトショップに植物が販売されています。購入することはできますが、日本に植物を持ち込む際は検疫が必要となります。
ライオン・アーボリータムの基本情報
ライオン・アーボリータムの基本情報です。
名称 | ライオン・アーボリータム(Lyon Arboretum) |
---|---|
住所 | 3860 Manoa Road, Honolulu, HI 96822 |
電話 | (808)988-0456 |
開園時間 | 9:00~15:00 |
休園日 | 土曜日、日曜日 |
入園料 | 一名につき$5~10程度の寄付が推奨されています。ビジターセンターでのチェックイン時にお支払いください。 |
所要時間 | 2時間 |
コース距離 | 500m~2km |
トイレ | あり(ビジターセンター内) |
駐車場 | あり |
予約サイト | 「eventbrite: Lyon Arboretum」 |
公式サイト、SNS | 公式サイト「University of Hawaiʻi: Lyon Arboretum」 公式Facebook 公式Instagram |
ワイキキ中心地から現地までの地図
ワイキキ中心地からライオン・アーボリータムまでの地図です。
ライオン・アーボリータムまでの行き方
ライオン・アーボリータムへは、レンタカー、タクシーやUber、公共バス等などで行くことができます。現地到着後、ビジターセンターにてチェックインをしてください。
レンタカー
ワイキキ中心地からライオン・アーボリータムまでは約10km、20分ほどの道のりです。マノア・ロードを突き当たりに、駐車場とビジターセンターがあります。
下のGooglのストリートビューは、マノア・ロード上のライオン・アーボリータム入口付近です。右手には、マノア・フォールズ・トレイルの入口があります。
ライオン・アーボリータムの駐車場
駐車場はビジターセンター(下の画像)の手間にあり、無料で利用できます。駐車後、ビジターセンターにて駐車券をお受け取りください。駐車券は車のダッシュボード上に置きましょう。
駐車場利用時の注意点
駐車場は数が多くないため、すぐに満車になることが多いようです。
満車時は、マノア・フォールズ・トレイル駐車場(Paradise Park lot/ 駐車料金:7ドル)または、マノア地区の住宅エリアに路上駐車しましょう。
タクシー、Uber
ワイキキ中心地(T Galleria By DFS)からタクシーを利用した場合の所要時間と乗車料金の目安(片道)です。
- タクシー
- 所要時間:約20分
乗車料金:$30~35程度(チップ15%、州税込み) - Uber、Lyft
- 所要時間:約20分
乗車料金:$18~20程度
公共バス
TheBusを利用してワイキキ中心部からライオン・アーボリータムへ行く場合、アラモアナセンターから出発するルート「5」に乗車し、終点で下車します。乗車時間は25~30分ほどです。
終点のバス停はマノア・ロードとクムオネ・ストリートが交差する地点にある「Manoa Rd + Opp Kumuone St」です。バス停からハイキングコースの入口までは、マノア・ロード沿いを歩いて20分(約1.2km)です。
アラモアナセンターへ戻る際のバス停も、上述と同じ場所です。「アラモアセンター」行きへご乗車ください。
下のGooglのストリートビューは、バス停「Manoa Rd + Opp Kumuone St」からライオン・アーボリータムのビジターセンターまでの順路です。
ワイキキからアラモアナセンターまでの移動は、「8」や「23」、「20」、「42」を利用しましょう。
周辺の観光スポット
ライオン・アーボリータム周辺の代表的な観光スポットをご紹介します。
マノア・フォールズ・トレイル
オアフ島で代表的なハイキングコースの一つです。マノア滝まで片道1.3km、往復で約1~1.5時間程のコースです。
以下の記事で、マノア・フォールズ・トレイルの見どころや行き方を紹介しています。
マノア・フォールズ・トレイルワイオリキッチン・アンド・ベイクショップ
マノア地区の緑豊かな場所にある、朝食やランチが専門のカフェ。建物が歴史的建造物で、趣きのある佇まい。マノアのさわやかな風を感じることができるお店です。以下の記事で人気メニューなどを紹介しています。
ライオン・アーボリータムの歴史と100年前の環境問題
ライオン・アーボリータムには、東南アジア原産の樹木などハワイ原産以外の植物が多くありますが、それらは前世紀のハワイが直面した環境問題の対策として再植林されたものです。この取り組みを主導したのが、植物病理学者のハロルド・L・ライオン博士でした。
ライオン博士は、ダウンタウンにあるフォスター植物園の初代ディレクターとしても知られており、現在ホノルル市郡が管理・運営する5つの植物園(フォスター、ココクレーター、リリウオカラニ、ホオマルヒア、ワヒアワ)の発足に貢献した人物です。
マノア渓谷は、今でこそ緑豊かなエリアですが、20世紀初頭までは牛の放牧や農地として使われており、現在とは違う景観だったようです。
当時、マノアを含むハワイのあらゆる場所において、放牧地や農地を広げるため、もしくは砂糖製造につかう木材の調達を目的に原生林が次々と伐採されていたようです。さらに、大地が牛によって踏み固められてしまったため、ハワイ原産の植物は自力で再生困難な状況に。
参考までに、下の画像はカウアイ島のコロア地区に残っているサトウキビ工場の跡です。こうした工場がハワイではたくさんありました。
固くなった土地は、水を吸収することができず、植物の成長を妨げ、さらには水の循環を滞らせます。そうなると、農産業に深刻な影響を及ぼすばかりか、人々の飲料水さえ確保できなくなってしまいます。前世紀のハワイはこうした環境問題に直面していました。
この状況を改善するために、ハワイさとうきび生産者協会*(Hawaiian Sugar Planters’Association: HSPA)がマノア渓谷の一区画を購入し、健康な土壌をとり戻すため、森林の植栽試験を開始。
そのときに専門家として雇われたのがライオン博士でした。博士は、オアフ島に育つ外来種の樹木を調査し、1920年からマノア渓谷で再植林に挑んだのです。これがライオン・アーボリータムの原型となります。
再植林の取り組みを始めてから20年以上が経過すると、マノアの谷はふたたび緑豊かな環境へと変わり始めます。1945年、当初の目的が達成されたとし、再植林プロジェクトは終了します。
1950年代、豊かになった植生を守るため、ハワイ大学がこの土地の管理を引き継ぎ、植物園として運用することになります。ライオン博士は1957年に亡くなりますが、その際に植物園の存続のために、財産の一部を樹木園運営のために寄付しました。
現在、ライオン・アーボリータムは、多様な植物の保全活動をとおして、教育や研究分野に貢献することをミッションとして運営されています。
※ サトウキビは、19世紀から20世紀初頭ごろまでハワイの主要農産物でした。サトウキビは水分や養分を適度に含んだ土壌でしか育たないため、生産量の低迷を懸念したHSPAがこの問題に着手しました。
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